妊娠という珍事、ドラマティックな変化。
進化の過程をなぞる胎児
市販の検査薬キットで妊娠の可能性を確認した時、妊娠5週あたり。
すでに胎児はこの期間、とんでもないスパンの進化を駆け抜けていたのでしょう。
生物の進化は、「原始魚類 → 古代魚類 → 両生類 → 爬虫類 → 哺乳類」という過程で、現在の哺乳類まで至ります。
胎児は母親のおなかにいる期間に、この人類の進化の過程をなぞっているという説もあります。(ヘッケルの反復説)
大動脈の形成、顔の形成、各機関の形成。
急ピッチで重要な神経が育つ時期なので、しっかりと栄養を摂ることも必要です。
特に妊娠初期に最も有効な栄養素として葉酸が挙げられます。
葉酸には流産リスクの低減、神経管閉鎖障害のリスクを70%軽減したり、妊婦さんの貧血症状を軽くしてくれるなど、さまざまな効果が期待できます。
葉酸は吸収率が悪く、体内に蓄えておけない栄養素なので、毎日積極的に摂取しましょう。
妊娠とドラマティックな変化
子宮と胎盤を使って胎児を育てる『哺乳類』は、地球上では珍しい存在です。
胎盤を通じてじっくりと時間をかけて栄養補給をし、母体内で充分に胎児の発育を支え、出産します。
その時に起こる母体の変化は劇的です。
黄体ホルモン(プロゲステロン)は通常の月経時の10倍以上に増え、卵胞ホルモン(エストロゲン)に関しては、妊娠を経験しない女性が一生かけて浴びる総量をしのぐ量を妊娠期間中だけで産生します。
これは『非常事態』です。
初妊娠した女性の脳の変化を調査したところ、大脳皮質の体積が大規模に減少することが分かったそうです。(バルセロナ自治大学ヘクゼマ博士)
体積の減少が顕著だったのは、他人の心を読む皮質領域で、ここの減少量が多かった妊婦ほど産後の赤ちゃんへの愛情が強かったそうです。
この脳回路の変化は産後2年経ち再検査した時点でも変化したままです。
つまり、脳を見ただけで経産婦か否か見分けられるということです。
また、妊娠出産との関係が深いホルモンの一つで『オキシトシン』も放出されます。
哺乳類にしか分泌されず、①子宮収縮効果②母乳分泌効果③子宮復興の効果という主な役割があります。
オキシトシンの作用により母性愛が強まり、また恐怖心や不安などが減少し、精神的に安定する効果をもたらすことも分かってきています。
こうした作用から、オキシトシンは「愛情ホルモン」「幸せホルモン」「信頼ホルモン」「絆ホルモン」「癒やしホルモン」などと呼ばれることもあります。
また、オキシトシンには意外な作用もあります。
他者に対して『排他的になる』ということです。
子育てをしている動物は警戒心が強く、近づくものを攻撃してしまいます。
子どもを守ろうという気持ちが強くなり、それ以外をすべて「敵」とみなしてしまうのが原因なのではないかと考えられています。
親密な人とはより信頼関係を結び、そうでない人に対しては攻撃的になるなど、対比が鮮烈になるのです。
家族も例外ではありません。
育児に協力的ではない家族は親密な相手という枠の中に入ることが出来ず、攻撃の対象とみなされます。
子どもが生まれる前から『オキシトシンの審判』は始まり、子育ては始まっているのです。
夫婦同士のスキンシップで、互いにオキシトシンを分泌させ合うことが大切ですね。
私は貧血気味だったので、病院で処方してもらいました。 |